藤沢周平を褒める人は多く、その小説を基にした映画をみてそれをこの
ブログにかいたこともあった。「たそがれ清兵衛」だ。
こないだの週末にテレビで「蝉しぐれ」の映画をやっていて
半分くらいちらちら見たけど、小説が藤沢周平のなかでも特に良いと
いわれるほどには良くなかった。
それで逆に興味がわいて、小説をかってよんだ。
小説のほうの出来は評判どおりの素晴らしいものだった。
アマゾンの書評でも50以上の書評全てが褒めちぎっている。
かなわぬ恋も、尊敬する父が切腹することも、全て乗り越えて
主人公は常に真摯な態度で生きている。それを読んでいくことで
逆に自分の心まで澄んでくるような気がする。
多くの書評では、かなわぬ恋の幼馴染との最後話が最終章にあることや
父の亡骸を台車に乗せて坂を上るシーンで泣いた、とか書かてれていたが、
実はそのシーンでは主人公は泣いていない。
彼が涙を堪えられなかったのは、切腹前に父とのわずかな面会時間で
「この父を恥じてはいけない」 「剣の道に励め」といってくれた父と
別れた後、そのあと自分が父に伝えたかったこといえないまま
その面会が終わってしまったこと。
なんで、私はあなたを尊敬していますと、最後にいえなかったのだろうと
悔やんでそれにこそ、その主人公は泣いたのだった。
僕もその場面こそが、この小説で1番泣けるシーンだと思う。
自分の好きな女性が殿様の妾になるのもつらいだろうけど。
またこの小説では主人公の15歳から20歳ちょっとまでの困難の日々をかいて
最終章でいきなりそれから20年後になってしまっている。
主人公が順調に出世していったらしい時代のことは書いてない。
藤沢周平は、困難のときを主人公がどう生きたかを書きたかったと
いうことかもしれない。
困難のときこそ、本来、人の魂が1番輝くときだと彼は考えていたのかも知れない。
つうことは俺もまだまだ輝ける時がたくさんありそうだなあ。ヤレヤレ。
1 件のコメント:
コメントでご連絡します。
#私のブログへのコメントありがとうございました。
お借りしている本は明日にでもお返しします。私にとっては価値ありと判断しましたので、とりあえず、手元において置きたいと思いました。買っちゃいます(笑)
今頃ですが、最近『沈まぬ太陽』を読んだので、今度、かわりにこちらをお貸しします。
興味あればですが(笑)
コメントを投稿