水曜日, 8月 29, 2007

藤沢周平 蝉しぐれをよんで

藤沢周平を褒める人は多く、その小説を基にした映画をみてそれをこの
ブログにかいたこともあった。「たそがれ清兵衛」だ。

こないだの週末にテレビで「蝉しぐれ」の映画をやっていて
半分くらいちらちら見たけど、小説が藤沢周平のなかでも特に良いと
いわれるほどには良くなかった。

それで逆に興味がわいて、小説をかってよんだ。

小説のほうの出来は評判どおりの素晴らしいものだった。

アマゾンの書評でも50以上の書評全てが褒めちぎっている。

かなわぬ恋も、尊敬する父が切腹することも、全て乗り越えて
主人公は常に真摯な態度で生きている。それを読んでいくことで
逆に自分の心まで澄んでくるような気がする。

多くの書評では、かなわぬ恋の幼馴染との最後話が最終章にあることや
父の亡骸を台車に乗せて坂を上るシーンで泣いた、とか書かてれていたが、
実はそのシーンでは主人公は泣いていない。

彼が涙を堪えられなかったのは、切腹前に父とのわずかな面会時間で
「この父を恥じてはいけない」 「剣の道に励め」といってくれた父と
別れた後、そのあと自分が父に伝えたかったこといえないまま
その面会が終わってしまったこと。

なんで、私はあなたを尊敬していますと、最後にいえなかったのだろうと
悔やんでそれにこそ、その主人公は泣いたのだった。

僕もその場面こそが、この小説で1番泣けるシーンだと思う。

自分の好きな女性が殿様の妾になるのもつらいだろうけど。

またこの小説では主人公の15歳から20歳ちょっとまでの困難の日々をかいて
最終章でいきなりそれから20年後になってしまっている。

主人公が順調に出世していったらしい時代のことは書いてない。

藤沢周平は、困難のときを主人公がどう生きたかを書きたかったと
いうことかもしれない。

困難のときこそ、本来、人の魂が1番輝くときだと彼は考えていたのかも知れない。

つうことは俺もまだまだ輝ける時がたくさんありそうだなあ。ヤレヤレ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

コメントでご連絡します。
#私のブログへのコメントありがとうございました。


お借りしている本は明日にでもお返しします。私にとっては価値ありと判断しましたので、とりあえず、手元において置きたいと思いました。買っちゃいます(笑)

今頃ですが、最近『沈まぬ太陽』を読んだので、今度、かわりにこちらをお貸しします。
興味あればですが(笑)