オフロードライダーだ。
俺は自分の技量を試すことができる難しい林道に挑戦し続けた。
そしてその日、今までの総決算としてとっておきの一番難しい林道にアタックした。
サッカーボールくらいの石がゴロゴロする急斜面。
林道を走りぬけ標高2000mを越える最高地点まで
一歩先は断崖絶壁のユーターンもできない細い一本道で
タイヤはズルズル滑った。無謀な挑戦だったかもしれない。
結構やばい瞬間もあったけど俺は最高点に到達することができた。
その最高地点で休みながら俺は達成感に包まれていた。
バイクに乗ってオフロードに挑戦し続けて良かったと。
俺でなければ、俺の体力、筋力、持久力、技術、度胸、
そして俺の相棒のDR400Sのタフなエンジン、この標高でも十分な
パワー、長くてしなやかなプログレッシブサス、前輪を振られても
立て直せる重心集中設計の最強の相棒がいなければ、
ここまではこれなかったと。おまえは最高の相棒だ。
ここは俺だけが到達できる、最高の場所だ。
景色も空気も最高だ。ヤッターーー
「タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ」
なんの音だろう、この音は近づいてくる。バイクの音とは思えない。
こんなところまで一体だれがこんなに難しい道をこんなに一定の
リズムで登ってきているのだろう。
その音の主はコーナーの向こうから急に現れた。
「やあ、若い人、今日は良い天気だねえ」
手を上げて挨拶している。信じられないこの荒れた路面で
片手運転かよ。
バイクはあのスーパーカブ のっていたのは爺さんだった。
こんなところに最強のライダーがいたとは。 じーさんシブすぎるぜ。
俺もあんたみたいなじいさんになりたいぜ。
カブは凄いバイクだ。
これ昔本当にきいた話だよーん。
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