その女性はとても魅力的だけど、ちょっと危ない人で、自分がそれほど好きでない男については、その心を弄ぶことがある人だった。
その女を好きになった男は学歴も職歴も立派なエリートエンジニアだった。
僕はたまたま、その女性のほうを知っていて、その男のほうにはほんの数回あったことが
あるだけだったのだが、その彼が、僕に相談したいことがあるという。
僕ははっきり、自分の考えを彼にいった。
あまり人を見る目がない自分でも どう考えても彼が彼女の心を捕まえることはできないし、
万一捕まえても、そのあと彼が幸福になれるとも思えなかったからだ。
折角、僕に相談したいということだし。
「彼女は結婚に向かないだろうし、あたなともあわないと思う。ともかくやめたほうがよい。」
かーーー。俺みたいなこんなことに疎い人間のセリフじゃない。でも本気でそう思った。
彼の答えは意外なものだった。
「僕は彼女の声を聴けるだけでもいいんです。それだけでも嬉しくてしょうがないのです。」
「...................................」
何も言えなくなった。
しばらくたって、彼にきいた。
「何で僕に相談しようと思ったのですか?」
「それは、............................................」
また固まってしまった。
彼の真剣な恋愛感情に僕は何も役に立つことはいえなかった。
何故、彼はそこまで、彼女を好きになったのだろう。
僕はその女性が非常に魅力的なのは認めるが、
その純情な男の心を手玉にとって弄んでしまうところが、
それができてしまうところが、基本的に人間として好きになれないなあと
思うばかりだった。
魔女は現実にいるのだ。
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